今回は、カシオペヤ座の近くにあるク「ワガタ星雲(Sh2-157)」をメインに、「M52」、「シャボン玉星雲(NGC7635)」を一緒に撮影してみました。
◆月明かりの中での撮影
実はこの日は、かなり月が大きく、月齢18。

しかも、撮影対象と月との離角は約55度と、星雲撮影にはかなり月に近い条件です。
「こんな条件で、どこまで写るかな?」
と思いながらも、今回はANTLIA SHO 4.5nm EDGEを使ったナローバンド撮影です。
狭帯域フィルターの効果に期待して撮影を開始しました。
結果は、思っていたよりも星雲の構造を捉えることができました。
月明かりの影響をかなり受ける条件でしたが、ナローバンドフィルターのおかげで、淡い星雲もしっかり写ってくれたようです。

今回のメインは、右下に大きく広がっている「クワガタ星雲(Sh2-157)」です。
よく見ると、二本の大きな角のような構造が伸びています。
その形を眺めていると、確かに「クワガタ」と呼ばれる理由が分かります。
角の間には「目」のように見える部分もあり、その上には触覚のような細長い構造も見えます。
淡い星雲なので、月明かりの中でどこまで出せるか心配でしたが、なんとか特徴的な姿を写すことができました。
そして、画面中央より少し左側に小さく写っているのが「シャボン玉星雲(NGC7635)」です。
今回はクワガタ星雲を中心に画像処理していることもあり、少し分かりにくいかもしれませんが、よく見ると小さな円形の構造を見ることができます。
さらに、画面左上に集まっている星の集団がM52です。

シャボン玉星雲とM52辺りを拡大。シャボン玉に合わせて少し調整した画像です。
※星雲の詳しい情報については、こちらを参考にして下さい。◆画像処理に苦戦
撮れるには撮れたのですが、撮影直後の画像を見てみると、やはり月の影響はかなり残っていました。
特にベースとなる背景が少し明るく、傾斜もあり、場所によって色も変化しています。
そのため全体的にコントラストが出難く、暗い階調を強調しようとするとノイズも目立ってきました。
今回は、ここからの画像処理にもかなり苦労しました。SHO画像なので、SIIを赤、Haを黄金色、OIIIを青として、いわゆるハッブルパレットらしい色合いを目指します。最初、Seti Astro Suite ProのNarrowband Normalizationや、SirilのPixelMathで色を整えようとしました。ところが、月明かりによる大きな輝度・色の傾斜もあって、思うように色を合わせることができません。フラット補正が十分に効かず、強すぎると、星雲が破綻。ある程度のところで諦めてAffinity PhotoのカラーバランスやHSRで色を修正しようとすると、今度はノイズが目立ってきたり……。
そこで今回は、色や階調の処理は最初からAffinity Photoに任せることにします。
Compositしたベース画像をSII、Ha、OIIIの3枚の白黒画像に分離してAffinity Photoのレイヤーに割り当てます。
それぞれのレイヤーに直接リカラーで色を付けます。SIIを赤、Haを黄金色、OIIIを青として、それぞれの画像が持っている濃淡を、そのまま色に置き換えていく方法です。今回は、この方法の方が自分のイメージする色に近づけやすく、最終的にはこちらを採用しました。まだまだ試行錯誤中ですが、SHO画像の色作りはなかなか奥が深いですね。
◆ちなみに……
撮影した月は、Google Pixel 10 Proで手持ち撮影したものです。
スマートフォンを月に向けて撮っただけなのですが……
最近のAI、すごいですね。これ、本当に撮影画像から復元したものなんでしょうか?
もしかすると、インターネットから……(笑)。
今回は、月明かりという星雲撮影にはあまり嬉しくない条件でしたが、狭帯域フィルターのおかげで思った以上に撮影することができました。
画像処理ではかなり悩みましたが、今回もまた一つ、SHO画像の色作りについて勉強になった撮影でした。