天の川のほとりで星空散歩
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北天代表M5 vs 南天最大のω星団:同じ機材で撮り比べてみた 26/06/12 00:01
Babyelf
M5(NGC5904)を撮影しました

球状星団の中でも中心集中度が高く、星がぎゅっと集まった美しい対象です。

中心部は非常に締まりが良く、外側に向かって星の密度が急速に減衰していくため、“球状星団らしい姿”がとても分かりやすく写ります。青白い星と黄白色の星が混ざり、恒星の色の違いも楽しめました。


※画像を1/4にトリミングしています(フルサイズ換算で約6000mm相当)。

■ 球状星団のサイズ感と明るさ
春から初夏にかけては球状星団が楽しい季節です。代表的な球状星団の明るさと見かけの大きさ(視直径)を並べてみると、それぞれの個性がよく分かります。


      明るさ  視直径
  ω星団 3.7等  36′
  M22   5.1等  24′
  M13   5.8等  20′
  M5   5.7等  23′

M5M13と並ぶ北天を代表する球状星団ですが、こうして数字を見てみると、明るさも大きさもかなり上位に位置していることが分かります。

M5ω星団を比較

前日に撮影したω星団と並べてみました。



同じ ε130D+ASI585MC Pro、同じ焦点距離で撮影した画像ですが、こうして比べると「いや~ω星団ってでっかい」。

見かけの大きさは、数字だけなら約1.6倍(=M5 23'/ω星団 36')ほどの差しかありませんが、実際の写真では、星の分布の違いによって見た目の差はそれ以上に感じられます。

M5は中心部に星が強く集中し、外側へ向かうにつれて星の密度が急激に減少しています。一方のω星団は、中心から周辺部まで非常に多くの星が分布しており、巨大な星の塊がそのまま広がっているように見えます。そのため実際の視直径以上に大きく、迫力のある天体として感じられるのでしょう。

球状星団としての「整った美しさ」はM5、圧倒的なスケール感ならω星団。同じ球状星団でも、ここまで印象が違うのは面白いところです。

さらにω星団は、単なる球状星団ではなく、かつて天の川銀河に取り込まれた矮小銀河の中心核ではないかとも考えられている特別な存在です。その圧倒的な大きさと星数は、他の球状星団と比較しても別格の風格を感じさせます。

※それぞれの星団の詳細や撮影条件については、下記のリンク先をご参照ください。
 M5について
 ω星団について


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赤と青が楽しい三裂星雲(M20) 26/06/10 21:33
Babyelf
5月16日と17日の二晩を使って、いて座の三裂星雲(M20)を撮影しました。
どちらの夜もよく晴れてくれて、特に16日は透明度が高くて絶好の撮影日和。17日は薄い雲が少し流れましたが、全体としては落ち着いた空でした。

今回は、M20らしい赤と青のコントラストをしっかり出したくて、青い反射星雲の淡い部分を丁寧にあぶり出してみました。背景に広がる分子雲もできるだけ残して、ふんわりと浮かぶような雰囲気を目指しています。

機材は ε130D と ASI585MC Pro、フィルターは LPR-N。
総露光時間は、二晩合計で4時間(300秒×48枚)になります。

画像処理は Siril でスタックしたあと、Seti Astro Suite Pro で StarNet++ による星分離と、GraXpert でグラデーション除去&ノイズ低減を実施。仕上げは Affinity Photo でレイヤーを整えつつ、レベル補正・カーブ・明瞭度・彩度を軽く調整しています。

淡い分子雲が夜空に漂うような、M20らしい立体感を感じてもらえたら嬉しいです。




M20についての詳しい情報や撮影条件等については、こちらのページを参照ください。


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NGC5897 ~幽霊の球状星団(Ghost Globular)を撮る~ 26/06/03 23:40
Babyelf
春から夏へと季節が移り変わる5月半ば、今回は普段あまり狙わない少し暗めの球状星団、NGC5897を撮影してみました。

球状星団といえば、M13M22のように無数の星がぎっしり集まり、撮影直後から存在感を放つ天体を思い浮かべます。しかしNGC5897は少し違います。本番撮影前のプレビュー画像で確認したときの第一印象は、「写ってる?」でした。

星の数も少なく、ぼんやりとした淡い光の塊が僅かに見えるだけ。むしろ散光星雲のようにも見え、これが球状星団だとは思えませんでした。

ところが露光時間を重ねるにつれ、その姿が少しずつ浮かび上がってきます。淡い光の中から無数の恒星が現れ、ゆったりと広がる球状星団特有の姿が見えてきました。

NGC5897はてんびん座にある球状星団で、球状星団としては非常に星の密度が低く、中心部にもM13のような強い集中がありません。そのため淡く半透明な印象を与え、海外では「Ghost Globular(幽霊の球状星団)」という愛称で呼ばれることもあります。

実際に撮影してみると、その呼び名に納得です。派手な姿ではありませんが、長時間露光によって少しずつ姿を現す様子はまるで夜空に漂う幽霊のようでした。

有名なメシエ天体ほど注目されることはありませんが、じっくり向き合うことで魅力が見えてくる、そんな隠れた名球状星団です。

◆トリミング後



◆オリジナル



<撮影条件>
 撮影日 2026-05-17
 場所 鳥取県西伯郡大山町
 カメラ ASI585mc Pro
 光学系 ε130D(430mm)、Filter LPR-N
 赤道儀 AM7、ASI Air

撮影条件 Gain 200、計50分(300秒×10枚)

画像処理 Siril
 Stack
 Seti Astro Suite Pro
 GraXpert(Remove Gradient 0.1、Denoise 0.15)
 Commic Clarity (Sharpen Stella only 0.2)



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くじら銀河とホッケースティック銀河 26/05/30 20:47
Babyelf
5月15日、いつもの撮影地である鳥取県・大山南側の添谷展望台へ行ってきました。

撮影時点、まだまだ春の銀河シーズンは終わっていません。宇宙の窓からは、無数の系外銀河が顔を覗かせています。今回は以前から撮影したかった、りょうけん座の人気銀河、NGC4631(くじら銀河)とNGC4656(ホッケースティック銀河)を狙ってみました。

実はこの2つの銀河、比較的近い位置にあり、1枚の画角に収めることができます。今回はその広がりを活かして、春銀河らしい“宇宙空間の奥行き”を意識して撮影してみました。


◆宇宙を泳ぐ「くじら銀河





横長に伸びた姿は、まるで宇宙を泳ぐクジラのよう。中央には複雑な暗黒帯が走り、その周囲には青白い星形成領域が広がっています。

画像処理を進めると、銀河内部の細かな濃淡が次々と浮かび上がり、とても立体感のある姿を見せてくれました。

銀河の上側には、小さな伴銀河 NGC4627 も寄り添っています。単独でも美しい銀河ですが、この伴銀河が入ることで、さらに印象的な構図になっています。まるで母親に寄り添う子クジラのようにも見えて、何とも可愛らしい組み合わせです。

◆不思議な形の「ホッケースティック銀河





もう一つの主役が、NGC4656 “ホッケースティック銀河”です。

名前の通り、ホッケースティックのように折れ曲がった独特の形をしています。細長い銀河の中には青い星形成領域が点在し、どこか荒々しい雰囲気も感じられます。

この歪んだ形は、周囲の銀河との重力相互作用によって生まれたと考えられており、まるで宇宙の力学をそのまま見せてくれているようです。

くじら銀河に比べるとかなり淡い対象ですが、処理を進めることで独特の存在感が浮かび上がってきました。


◆トリミング前の元画像





二つの特徴的な銀河が寄り添った、とても面白い構図になりました。

今回の撮影で、春の銀河シーズンもそろそろ終わり。これから夜空は春から夏へと移り変わり、撮影対象も銀河から球状星団や散光星雲へ変わっていきます。

今後は、夏の天の川周辺に広がる散光星雲や、迫力ある球状星団などを中心に撮影していこうかなと思っています。


◆撮影条件

撮影日:2026-05-15
場所:大山町佐摩(添谷展望台)
カメラ:ASI585MC Pro
光学系:ε130D + LPR-N
赤道儀:AM5
露光条件:Gain 200、計180分(300秒 × 36枚)


画像処理
Siril
・Stack

Seti Astro Suite Pro
・StarNet++ :星分離
・GraXpert :Remove Gradient、Denoise
 背景部と銀河部を別条件で作成
・Cosmic Clarity :Sharp
・統計ストレッチ

Affinity Photo
・レイヤー処理
・レベル補正&カーブ
・明瞭度
・ノイズ除去
・ハイパス
・ガウスぼかし
・彩度調整
・HSLシフト調整
・ホワイト&カラーバランス など



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ω星団は、でっかくて明るい。 26/05/25 17:49
Babyelf
前回ご紹介したケンタウルス座Aのすぐ近くには、もうひとつ、この夜どうしても撮っておきたかった天体があります。それが、球状星団 ω(オメガ)星団(NGC5139) です。

ケンタウルス座Aと同じく南の低空にあり、日本からはなかなか条件よく見ることができない天体ですが、このエバーランド奥大山の開けた南天なら、しっかりその姿を捉えることができます。

ω星団は地球から約1万6千光年の距離にある、全天最大の球状星団。
直径はおよそ150光年、含まれる恒星の数は数百万個とも言われています。

双眼鏡でもぼんやりとした大きな光の塊として見えますが、望遠鏡や写真で見ると、その正体は無数の星々の集まり。中心部へ向かうほど星がぎっしりと密集し、まるで星の粒が重なり合って光の渦を作っているようです。

しかもω星団は、ただの球状星団ではないかもしれない――という説があります。
現在では、「かつて天の川銀河に取り込まれた矮小銀河の中心核が残ったものではないか」と考えられており、そう思って眺めると、ただ美しいだけではなく、どこか壮大な歴史を感じさせてくれます。

この日は透明度こそ良かったものの、低空のためシーイングは今ひとつ。星像がわずかに揺らぎ、細かな星の分離には少し苦労しましたが、それでも撮影画像を確認した瞬間、思わず声が出ました。

「でっかい…。すっげ~」

画面いっぱいに広がる星の洪水。
ひとつひとつの星が独立しながらも、全体としては柔らかな球体を形作ってます。







撮影条件

・鏡筒:タカハシ ε130D
・赤道儀:ZWO AM7
・カメラ:ZWO ASI585MC Pro
・フィルター:LPR-N

露光条件
 Gain 200
 計 60分(300秒 × 12枚)


画像処理
 Siril
  Stack,Color Calibration,GHS,Contrast強調,色強調
 CosmicClarity
  シャープ化
 Affinity Photo
  色味や階調の微調整




山陰では普段なかなか見ることのできない南天の名天体。こうして写真に収められたことだけでも、この観望会に参加した価値があったと感じています。

今度は、もう少し長焦点&大き目のカメラで撮影したいと思います。


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